2019.05.17
住宅・土地統計調査
さる4月26日に平成30年住宅・土地統計調査が発表になりました。
空き家戸数は846万戸ということで、空き家率は13.6%と過去最高になったとの発表でした。これは、前回平成25年は13.5%でしたから、確かに過去最高ですが、ほとんど横ばいです。
今回の数値がどうなるか注目していましたが、過去最高とはいえ横ばい程度の数値でとどまったのは意外というほかありません。なぜかというと、街の中をみると空き家は確実に増えており、5年前と変わらないという実感はほとんどないからです。全国的な数値なので、地方と都市部は違うかもしれませんが、日本全体の人口が減っている中で、新築住宅やタワーマンションなどの建物が増え続ければ、当然空き家は増えていくのは当たり前なのですが、統計数値では現れてきませんでした。
この分析はこれから色々とされるでしょうが、残念なのは、今回の数値が過去最高とはいえ、ほとんど横ばい程度であったので、報道がほとんどされなかったことです。仮に空き家戸数が1,000万戸になっていれば、社会的な課題としてもっとクローズアップされて議論されることになったでしょう。そうなれば、地方におけるマイナス価格の「負動産」の問題や老朽化マンションの問題などももっと議論されることになったと思います。この統計調査は5年に一度ですので、次の調査時点まで問題が先送りになったことが非常に残念です。
ただ、注目すべき数値がありました。空き家の分類の中で「その他住宅」が347万戸と29万戸、9.1%の増加となっていました。その他住宅とは賃貸用や売却用ではなく、転勤、入院、相続などで空き家となっている住宅です。また、「売却用の住宅」も29万戸と1万戸、4.5%の増加となっています。売却用の住宅とは新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅です。このあたりの数値の増加率は、実感と近いものがあります。
統計数値は分析が不可欠ですので、数値と実感のギャップが解消されるような適切な分析と議論がされることを期待しています。そうでなければ、頭に残る土地神話で「負動産」になっているのも気が付かず、地方の住宅地の空き家が増加し疲弊する地域が増加していくことになるでしょう。